理事長所信

理事長所信

鹿児島青年会議所2012年スローガン 時代への挑戦

第58代理事長 野元 一臣

はじめに~未来への責任~

青年としての大きな使命は、未来に責任を持つこと。私たちがJAYCEEとして、また青年期を生きる一人の人間として、日々耳にし、口にする言葉です。

過去、現在、そして未来。両親をはじめ多くの先人が、その時々を必死に生き抜いてきた時間の積み重ねの上に現在が存在し、私たちが今という時間に積み重ねる行動の一つ一つが、未来をカタチづくるのです。まずは、私たち一人ひとりが、その認識と覚悟を持ち、真っ直ぐに、時代と向き合おうではありませんか。

必ず現状に対する問題提起、未来への展望が生まれるはずです。そして、青年らしい正義感で、理想に満ちた未来像を具体的に描き、常に最善を尽くし続ける。それが、私たちが未来に責任を持つことであると信じます。

JAYCEEであることの価値~JCの機会を活かす~

JCでの、多種多様な背景を持つ、多くの同志とのかけがえのない出会い、そして幅広い経験の機会は、様々な価値観との出会いでもあり、自己成長の源となる刺激に溢れています。それでは、今あなたは、JCに溢れている出会いと経験の機会を、その瞬間、瞬間で大切にしていますか。

鹿児島JCへの入会動機は様々です。きっとそれぞれに、入会することで、自分に何かを得たいと考えたのではないでしょうか。しかし、求めるだけでは、何も与えてはくれない団体がJCなのです。つまり、JCが自分に何を与えてくれるか、という視点ではなく、JCを通じて何ができるかを考え、積極的に行動するからこそ、かけがえのない出会い、自分に有意義な時間、経験、そして成長を得ることが出来るのです。全ては自分次第であり、物事を柔軟に吸収できる素直な心、前向きで積極的な姿勢によります。また、JCには世界に広がるネットワークがあり、様々なステージへの出向の機会があります。個人の機会として捉えるならば、広い視野と感性を育み、世界中で友情を築くことができる貴重な機会です。鹿児島の地から、大いに挑戦してください。

人生最後の学校と言われるJCで、人生の成長期とも言える40歳までの時間に、より大きく成長を果たすことが、私たちがJAYCEEであることの大きな意義の一つであり、価値であると考えます。共に切磋琢磨し、刺激し合い、学び合おうではありませんか。

これからの3年間~JCの本質を確かめながら~

1954年に創立した鹿児島JCは、本年58年目を迎え、再来年度には60周年という節目の年を迎えます。また、2008年から取り組み続けてきた、公益社団法人格取得への最終段階を迎えている今、私たちはあらためて、JCの本質を確かめながら歩む必要があります。

私は、2003年に鹿児島JCに入会し、その翌年には50周年という記念すべき節目を会員として過ごすことができました。常に、時代と共に歩んできた鹿児島JCの歴史を紐解く中で、その時々の輝かしい実績と、多くの先輩方のたゆまぬ努力を知るとともに、鹿児島JCの時を超えた絆を感じることができました。更には、次の50年に向け、共に未来創造への挑戦を決意したことを鮮明に覚えています。そして、鹿児島JCがすべきこと、鹿児島JCだからこそ出来ることを、主体性を持って考え、多くの市民の方々と共に、より良い未来へ向け行動することを誓った年でもありました。そのことは、今も昔も、そしてこれからも、私たちにとっての思考と行動の基本的且つ普遍的な指針であります。それらを踏まえると、公益社団法人へ移行し、公益性と透明性の高い組織を目指すことは必然であり、鹿児島JCは今、大きな成長の機会を得ています。この転機に、役割任期1年制により、常に溢れる情熱と若さだけではなく、中長期的視点に立ったビジョンを描き出し、組織として具体的且つ効果的に歩みを進めようではありませんか。

また60年目を含む、これからの3年間には、その後の10年に繋がる更に強固な礎を築く使命があります。今一度、これまでの鹿児島JCの足跡を振り返りつつ、現在の私たちの活動・運動が、単純継続、単年度開催、単独事業になってはいないか、という視点から検証を重ねる必要があります。そして、将来を見据え、しっかりと育て、次代に伝えていくことが、常に未来を切り拓かんとするJCにとっての生命線なのです。

新たなる時代の到来~「戦後時代」から「災後時代」へ~

九州新幹線全線開業前日の、2011年3月11日14時46分。戦後最大の国難となる東日本大震災、そして福島第一原発事故が発生し、我が国日本は、大きな転換を迫られています。バブル経済崩壊後の長引く不況とデフレ、破たん寸前の財政状況、過去に例を見ない円高、深刻化する少子高齢化など、従前からの社会問題に加え、新たに被災地の復旧復興、エネルギー問題、国民の安心安全、地方分権の加速など、様々な問題と課題を突きつけられています。今後5年から10年という時間の中で、日本の姿は大きく様変わりすることでしょう。その影響が、私たちの暮らす鹿児島に及ぶことは、具体的ではなくとも、誰にでも容易に想像がつきます。しかしながら、直接的な影響が少ない鹿児島では、私たち一人ひとりの未来に関わる問題として、捉えられていない現状があるのではないでしょうか。

私たちは、これまでの「戦後時代」と言われてきた時代から、「災後時代」に移り変わったことを、しっかりと認識しなければなりません。今後更に変化の大きい、スピードの速い時代に突入していく中で、私たちが愛してやまない郷土鹿児島と共に、如何に生き抜いていくのかが問われています。戦後復興の時代に「新日本の再建は我々青年の仕事である」との使命感でJCを立ち上げた先輩方の、JC創始の精神に学び、世界そして日本全体という視野を持って、一歩先の時代の流れを掴むことが重要です。そして、多くの市民の方々と共に、鹿児島の地で確かな歩みを進めなければなりません。また、震災直後の昨年7月25日。屋久島の青年有志が集い、私たち鹿児島JCをスポンサーとして、国内における10年ぶりの新設LOM「屋久島青年会議所」を誕生させました。屋久島は今、「郷土の未来を青年の手で創ろう」とする本気の気概、創始の精神に溢れています。今後、屋久島JCの気概と精神をカタチにすべく支援を行うことは勿論のこと、更には、これまで以上に県内外の多くのJC同志と手を携え、未来創造を果たしていくことも重要であります。

今私たちには、鹿児島を変える気概、そして鹿児島から日本、世界を変える気概を持って、大胆に行動を起こすことが求められているのです。

JCが繋ぐ地域の絆~共生・協働による活力ある鹿児島~

東日本大震災は、新たな問題と課題を突きつけた反面、私たちへ数多くの教えを与えてくれました。私たち一人ひとりが、社会の担い手であり、自立した個人でなければならないこと、そして人が人を思いやりながら、互いに助け合い、共に行動する、つまり共生・協働が「ひと」と「まち」の大きな力になることを再認識させてくれました。

近年、必要性が叫ばれ続けている地方分権の流れが、益々加速することが予想されます。その様な中、JC宣言文にある「個人の自立性と社会の公共性が生き生きと協和する確かな時代を築く」ことは、理想・理念にとどまることなく、今まさに喫緊の課題になりつつあります。

鹿児島JCは、これまでも提言テーマ毎に、行政、そして多くの企業・団体、市民の方々に参画を頂きながら、様々な運動を展開してまいりました。こういった私たちの取組は、市民意識の変革はもとより、地域の自主・自立に欠かすことの出来ない、共生・協働型社会の実現と、それを支えるコミュニティの再生という点においても、大きな役割を果たしているのです。しかしながら、それらに対する認識と具体性はまだまだ薄く、課題を残しているのも事実であります。今一度、これまで鹿児島JCが得意としてきたテーマ型コミュニティに加え、エリア型コミュニティの活性化についても考察を深めなければなりません。そして、「コミュニティ再生」による「共生・協働型社会」の実現が、「地域の自主・自立」に寄与することを常に意識しながら、各運動を通じて推進することが肝要です。

また、本年度は、行政、企業・団体、市民など、各界各層との積極的な対話を通じて、パートナーシップの構築を図り、そこから得る地域の問題や課題、魅力を、具体的に今後の提言・運動に反映させるべく取り組んでまいります。

地球規模・人類規模の課題への挑戦~地域の観点から~

ヒト、モノ、カネが、グローバルに動き、世界中の情報がリアルタイムに流れる現代。私たちの日々の営みは、世界との多様な繋がりを強め続けています。そのことを踏まえると、地球規模、人類規模の問題は、地球に暮らす私たち一人ひとりの問題とも言え、個々人の問題解決へ向けた責任は大きくなっています。世界にネットワークを持ち、究極的目的に、恒久的世界平和を掲げるJCとして、地球全体という視点と、地域の観点の双方から、運動を展開していかなければなりません。

安心で安全に暮らすことができる地域環境。それは、私たちが生きていくうえで、また地域が自主・自立していくうえで、全ての根幹にあたります。その中でも、鹿児島のみならず、日本、そして世界各国で災害が頻発している昨今、地域環境の中でも最も重要な防災、減災という点に注目しなければなりません。私たちが暮らす鹿児島県は、過去に鹿児島8・6水害を経験し、近年では北薩地区、奄美地区の激甚豪雨災害など、幾度となく災害に見舞われてきました。地域における防災、減災への対策は、これまで行政が中心となって実施されており、更に近年では、各企業・団体に求められる社会貢献度と相まって、県内においても、各自治体を窓口とした各種災害協定が締結されている現状にあります。また、JCにおいては、鹿児島ブロック内12LOMによる、JC鹿児島ブロック災害支援ネットワーク協定が、2011年度に実現し、県内外の被災地へ、迅速且つ的確な対応を図る体制が整いました。しかし、地域全体という視点で見る時、私たちの生活や経済活動に深く関わることながら、危機管理意識・能力にはまだまだ課題を残しています。まずは、私たちの活動拠点である鹿児島市において、行政、企業・団体、市民が共に、危機管理意識を高め、地域の防災・減災力を向上させていくことが大切です。更に、現在直面している東日本大震災の復旧復興を、鹿児島を含む日本全体の復旧復興として捉え、継続的に支援活動を実施していくことが求められます。また、昨今の災害の原因の一つとして、地球環境のバランス崩壊によるケースが多いことも、見逃してはいけません。

人と地球の共生は、世界や国家という単位だけではなく、私たち個々人にまで及ぶ、人類共通のテーマです。今日の経済優先の社会構造と、過度な利便性追求により、地球環境は多様性とバランスを失いかけています。私たちは、自然が無限ではないことを認識しつつも、未だにその流れを止められずにいる現実は否めません。その様な中、原発事故によるエネルギー問題に直面し、必要に迫られる形で、省エネ、そして創エネの取り組みが、一気に加速しています。それらの動きは、地球環境に配慮してのことというよりも、経済活動や生活利便性への負の影響を最小限に抑えることが大きな目的であり、根本的な意識の向上とは言い難いのではないでしょうか。一刻の猶予も許されない今後のエネルギー問題に対する意識と知識を高めることは勿論のこと、地球上の多様な繋がりの中で、人類が生かされていることを認識する必要があります。また、環境・経済・安心安全は、全てが表裏一体であり、それらの両立が図られてこそ、持続可能な社会が実現することを理解しなければなりません。地域の観点から、元来自然を大切にする日本人の思想と、地域の様々な特性、特徴を踏まえつつ、鹿児島にふさわしい環境運動を展開しようではありませんか。

また、押し寄せるグローバル化の中で、人と人の共生は、益々重要性を増しています。私たちの鹿児島も、世界の中での個性の発揮、社会貢献が問われ、人的、経済的、社会的交流が、年々活発化していることからも、世界が繋がりを強めていることが身近に伺えます。しかし、この様な時代にあっても、人と人の心に起因する諸問題は、後を絶ちません。今私たちには、自国、郷土、個人のアイデンティティを確立させつつ、多様な文化と価値観を受け入れ、認め合う心、つまり「心の国際化」が求められているのです。地域の観点から、連綿と展開してきた鹿児島JCの国際交流に学びながら、心と心を結ぶ草の根的運動を展開してまいります。その連続が、人と人、地域と地域、国家と国家、世界の繋がりへと発展していくと信じます。

世界中の人々が、共により良い未来を創造しようとする社会の実現に向け、地球規模、人類規模の問題・課題にも果敢に挑戦しようではありませんか。

個性と魅力溢れる鹿児島へ~誇りある市民、誇れる鹿児島~

「鹿児島はどんなまちですか?」と尋ねられたら、どの様に答えますか。JAYCEEである私たちなら、一度は自問したことがあるはずです。JCは常に、本気で鹿児島を見つめ、真剣に考える機会を私たちに与えてくれます。同時に、それらの機会は、地域社会の一員であるという自覚、鹿児島への愛着と愛情、更には、もっと地域内外に誇れるまちにしたい、そんな気持ちと意識を育み、まちづくりへ向かわせる原動力になっています。

豊かな自然と地理的価値、豊かな歴史と文化、南に開かれた広域拠点都市、人の温かみなど、特徴特色とポテンシャルに溢れたまち鹿児島。それら豊富な地域資源を、自立心と公共心、郷土への誇りを持ったJAYCEEを含む市民の力で、魅力あるものに変え、市民と鹿児島のアイデンティティとして確立させていくことが重要です。つまりは、私たちが暮らす鹿児島を舞台に、「誇りある市民」によって創られる「誇れる鹿児島」、「誇れる鹿児島」で育まれる「誇りある市民」、という「ひと」と「まち」のサイクルを生み出すことであります。それが益々激化していく地域間競争の中にあっても、個性と魅力を発信し続ける鹿児島に繋がると信じてやみません。

鹿児島JCは、個性と魅力あるまちづくりとして、「海」「宇宙」「伝統文化」をキーワードに、長きに亘って運動を展開してきました。その中で、キーワードは同じであっても、その時々の背景を踏まえながら、手法が変わり、力点が変わることは当然であります。しかしながら、本年度も、引き続きそれらのキーワードを活かした運動を展開するにあたり、今一度、鹿児島JCがそれらをスタートさせた当時の理念、ビジョン、会員の志を学び知ることに加え、これまでの時間の中で、脈々と受け継がれてきた本質を掴むことが大切です。その上で、「ひと」と「まち」の双方の観点による、具体的ビジョンと明確な目的を持ち、効果的な事業を通じて、それらを鹿児島に描き出そうではありませんか。

また、ひとづくりの主軸の1つとして、次世代を担う青少年の育成があります。私たちは、全ての世代を繋ぐ20歳から40歳までの責任世代であり、そのことを踏まえると、時代を繋ぐひとづくりは、JCの大きな使命であると言えます。本年度は、「生き抜く力」「生かされていることへの感謝」「郷土への誇り」をテーマに、新たな青少年育成に挑戦してまいります。

今日の青少年を取り巻く環境は、ライフスタイルの変化、情報の氾濫、個々人の価値観の多様化など、複雑化が進み、それらに端を発した諸問題が発生しています。更に、教育という観点においては、これまでの全国一律の画一的なあり方に対し、今あらためて鹿児島らしい、鹿児島にふさわしい、地域社会に即した教育が必要であり、また時代の要請と潮流はその傾向にあります。まずは、青少年の身近なコミュニティである「地域」「学校」「家庭」の相互の関わりと、それぞれの役割に対する現状認識を深めなければなりません。そして、どのような立ち位置、切り口で青少年を育成すべきかについて議論と熟考を重ね、将来を見据えた一歩を踏み出そうではありませんか。

個性と魅力を発信し続ける鹿児島の実現に向け、「ひとづくり」と「まちづくり」の両輪をもって、「ひと」と「まち」のサイクルを生み出してまいります。

結びに~時代への挑戦を誓い~

鹿児島JCが、今後更に社会における先導的役割を果たしていくには、組織としての理念と、私たちメンバー個々の志を、常に高く掲げ続けることにかかっています。諦めることなく、前向きに。そして、それらを活動・運動を通じて、多くの市民の方々に伝え、共感と参画の輪を広げていくことにあります。つまり、私たちは、JAYCEEとして、一市民として、常に市民の目線に立ち、明確で分かり易く、そして強く大きな「未来を描ける言葉と行動」を発信し続けなければならないのです。

しかしながら、それらを発信する私たちJAYCEEの姿と、鹿児島JCの組織力が伴わなければ、説得力と期待感、そして広がりを生み出すことはできません。まずは、私たちの活動・運動の起点とも言える委員会・グループが、メンバーの積極的な議論と行動によって活気に溢れていること、そして更には、組織全体が理念・志でしっかりと結ばれていることが大切です。今あらためて私たちは、市民として、JAYCEEとして、そして鹿児島JCの一員として、果たすべき使命と責任、役割を自覚すること、つまりは自分と向き合い、己を律し、確立することからはじめようではありませんか。

本所信表明を通じ、自分、JC、時代と向き合い、我々青年の手で未来創造の使命と責任を果たしていこうと訴えてきました。混迷を極めている今にあるからこそ、私たちの力を結集させ、鹿児島JCとして力強く歩んでまいります。次なる時代に、胸を張って引き継げる社会を目指して。

時代への挑戦。青年としての使命と責任を胸に。