理事長所信 : 鹿児島JCについて

はじめに

戦後の荒廃の中、「新しい日本の再建は我々青年の使命である」という志のもと、青年会議所運動は始まり、ここ鹿児島でも、郷土鹿児島の再建の使命に燃えた青年たちが集い、鹿児島青年会議所は設立されました。その高い志と強い覚悟は、その時々の時代や社会の変化に応じた運動へとつながり、脈々と今を生きる私たちに受け継がれています。しかし昨今、さまざまな形で地域貢献を行う団体も増え「青年会議所しかない時代」から「青年会議所もある時代」になったなどと、よく耳にするようになりました。しかし、私は決してそうは考えていません。今も昔も地域を変えられるのは「青年会議所しかない」と私は信じています。なぜなら、いつの時代も私たちは自ら地域の課題を抽出するとともに、解決に向けた運動を展開してきたからです。ただ、私が考える今後の青年会議所の運動は、地域が抱える課題に対して、より具体的な数字を示した政策を立案・実施し、地域や市民に浸透させ、地域の新たな価値の創造につなげる運動を展開しなくてはいけないと考えています。それには、どんな時代にも柔軟かつ迅速に対応し続ける組織でなければなりません。守るべきものと変えるべきものをしっかりと認識した上で、前例にとらわれずに新しい発想を持って前に進んでいく、失敗を恐れず一歩踏み出す勇気を持って、想いを行動に移し、積極果敢にメンバー全員で挑戦していきます。そして、鹿児島青年会議所は、新たな価値を生み出す場として、来年2018年にJCI ASPAC鹿児島大会を開催致します。アジア各国・日本各地より多くのメンバーが集う貴重な国際会議を成功させることは当然ながら、鹿児島のさらなる国際化やまちの発展へとつながる機会にしなければなりません。そのためにも、本年度は大変重要な一年となります。今まで以上に行政や他団体、他青年会議所とのネットワークを強化させ、強い組織を創り、大会に向けた準備を進めるとともに、時代に即した活動・運動を展開してまいります。

組織の価値を高めるために

鹿児島青年会議所は2012年度より公益社団法人として鹿児島県に認定され、本年度で6年目を迎えます。今後もより一層、組織としての信頼を確立していくために、円滑な運営を行うことは当然ながら、より透明性・公益性の高い組織にしていく必要があります。そのためにも、組織として公益の定義周知を図るとともに、検討・検証をかさね進化を求めなければなりません。しかしながら、学び舎として会員に利益をもたらすことも必要です。そのためにも公益事業と共益事業の両立できるバランスを吟味した組織づくりが大切になります。また、組織としての規律や管理を徹底することによって、組織の価値を高めることにつながります。

青年会議所の最大の魅力、それは「機会」です。個人の持つ可能性、組織が持つ可能性、地域や国が持つ可能性を引き出す機会を常に与え続けてくれるのが青年会議所です。しかし、その機会は求めるだけでは何も得るものはありません。その機会を通じて自分に何ができるかを考え、能動的に行動してはじめて、様々な可能性を見出すことができるのです。そして、自ら考え行動する人が一人でも多く増えることで組織としての価値が上がるのです。

組織の価値を高めること。それは強い組織を創ることにもつながります。私が考える強い組織とは、意識が統一されている組織です。よく人の意識は変えられないと言われます。私も人が人の意識を変えることはほぼ不可能だと考えています。ですが、人の意識を変えるきっかけを与えることはできます。そのきっかけにより、自分が納得するものがあれば、意識は自ら変わります。よって、意識が統一されている組織は創れると私は信じています。そして、個々の人が組織に対して自分が成すべきこと、組織が目指していることを共有することがもっとも大切です。同じゴールを目指して突き進む組織ほど強いものはありません。組織としての価値観がしっかりとメンバー全員で共有されていれば、共感を覚えることも多くなるでしょう。そして、強い組織を創るために欠かせないのがメンバー同士のコミュニケーションの活性化です。メンバー同士の情報交換や熟議が日常化されれば、組織として常に同じ方向を見ることができるでしょう。私はコミュニケーションを取る上でもっとも大切なことは「自分の意志を相手に伝えること」だと考えています。ですが、伝え方を間違えると逆効果にもなります。昨今、IT技術の発達によりメールやSNSなどを用いてコミュニケーションを取ることも多くなってきました。しかし、どうでしょう。相手に自分の想いを伝えたいとメールを送ったが、その想いは半分も伝わらなかった。それどころか誤解を与えてしまった。このような体験をされた方も多いのではないでしょうか。まず、しっかりと自分の意志は、自分の口から相手に伝える。そして、確認事項としてメールやSNSなどを使う。便利になった世の中だからこそ、「伝える」ということを簡単に考えてはいけないと私は考えています。

そして、私たちは明るい豊かな社会を築くために、理念に共感し、共に行動する同志を一人でも多く増やし続けることが必要です。それには、高い会員拡大目標を持ち、メンバー全員で取り組み、より強く効果的な運動へと発展させなければいけません。これこそが青年会議所の最大の運動なのです。

また、昨年と同様、今年も全国へ向け出向役員と多くの出向者が鹿児島の地から挑戦します。鹿児島青年会議所の看板を背負い全国各地で活躍をするこの出向者に対して、LOM全体で支援しなければなりません。さらには、2018年に国際会議を開催するLOMとして、全国各地の青年会議所から注目を浴びると同時に、姿勢を見られていることに自覚を持って行動しなければなりません。また、JCI、日本青年会議所、九州地区協議会、鹿児島ブロック協議会との連携に加え、今後も行政、企業や団体、市民など、各界各層とのパートナーシップの推進を進めるとともに、既存のネットワークだけではなく、新しいネットワークも模索し、それらを最大限に活かし、組織力を高めていきます。

地域に新たな価値の創造を

2014年民間有識者でつくる日本創生会議が、人口減少により2040年までに消滅する恐れがあると言われる消滅可能性都市を発表しました。我々の住み暮らす鹿児島県も、30もの市町村がリストアップされ、人口減少による影響は、地域経済への消費市場縮小だけでなく、深刻な人手不足も生み出します。それゆえに事業の縮小を迫られるような状況も広範囲に生じつつあります。こうした地域経済の縮小は、そこで暮らす人々の経済力の低下につながり、地域社会の様々な基盤の維持を困難にしています。しかし、私はこの問題は地域益をもたらすチャンスであると考えています。人口減少は必ず地方から訪れます。ですから、課題先進地域は今後の社会情勢のモデルケースとして創ることができるのです。それにはまず、行政と民間が一体となって、持続的に社会成長できる仕組みを創らなくてはなりません。それと同時に、その仕組みに取り組むリーダー開発も行っていく必要があります。私が考える取り組みとして、物・サービス・場所などを共有・交換して利用するシェアリングエコノミーや、ビジネスにおいて地域と外部をつなげるコネクターハブ企業の推進、働き方改革と生産性向上を両立したダイバーシティ経営の浸透は多いに有効であると考えています。また、今後の社会情勢を大きく変えるであろうAI(人工知能)などの最先端技術は積極的に取り組むべきだと考えます。私たちはこのような地域再興のための政策を立案し、行政や民間とともに実施することで、必ず地域に新たな価値の創造をもたらすと確信しています。

また、鹿児島には世界に誇れる自然や文化が多く存在します。九州最南端にあり黒潮の恩恵を受けながら、独自の歩みを進めてきた地域であり、時代を先取りした様々なことに対し果敢に挑戦したことによって、時代を築いた偉人を多く輩出してきた地域でもあります。つまり、鹿児島は風土上、様々なつながりを活かし多くの価値を取り入れてきた地域なのです。私たちは、世界に誇れるこの素晴らしい鹿児島の地域特性をもっと世の中に伝播し、地域益をもたらす運動を展開していかなければいけません。その一つとして、日本ジオパークでもある桜島・錦江湾の地域特性を活用した桜島・錦江湾横断遠泳大会は、全国各地より選手が集いし素晴らしい大会です。選手たちの雄大な桜島を背に錦江湾を懸命に泳ぐ姿は見る者にも感動を与えてくれます。本年度も本大会に協力し、錦江湾の未来の姿を共に考え行動します。また、これまでの大会運営の検証を行い、実行委員会が新しい取り組みを行っていくビジョンを持つ機会をつくり、地域が主体となって開催される大会へとする必要があると考えています。

郷土愛が世界に誇れる鹿児島を創る

青年会議所の原動力。それは、郷土愛であると私は考えます。このまちを想い、愛し、誇りを持つからこそ、私たちは郷土のために行動するのです。

では聞きたい。私たちは、郷土の魅力をどれだけ知っているでしょうか。多くの先人たちが深い愛情を持ってつないできてくれた魅力あふれるこの郷土に対し、どれだけの愛情を持っているでしょうか。まだまだ私たちは、知る必要があると私は考えます。その学びの場として、私たちの一番の理解者である鹿児島JCシニアクラブの先輩方との交流する機会を設け、郷土愛・郷土の魅力について語り合い、学んでいきたいと考えています。そして、私たちが鹿児島のブランディングを行い、世界中の多くの人々に伝播し、鹿児島のファンを一人でも多く創ることで、世界に誇れる鹿児島につながると考えています。それには、どういった形で誰にこの魅力を発信していくのかが重要になってきます。私が考えるもっとも効果的な発信方法。それは私たちが愛するこの郷土鹿児島に訪れた人、そして、鹿児島県外に住む郷土鹿児島を愛してくれている人と連携をとり、その人たちとともに各地域で郷土鹿児島の魅力を発信していくことだと考えています。

また、郷土鹿児島の魅力の一つとして、私たちが住み暮らすこのまちには、誇りある多くの伝統文化があります。その中でも鹿児島市無形民俗文化財「鹿児島祇園祭おぎおんさぁ」において、私たちが一番神輿をお預かりして、本年で34年目を迎えます。郷土鹿児島を誇りに想い先人たちが紡いできてくれたこの伝統文化を、継承・形式・継続の美しさを求めながら、今後も次代を担う子供たちに誇りを持ってつないでいくことが、責任世代である私たちの使命であります。そして、郷土を想う純粋な情熱と貴重な伝統文化に触れる機会をより多くの市民に広く提供し、郷土を愛する人を増やしていくことがもっとも大切であると考えています。

国際的な視点から新たな価値観を見出す

近年の急速なグローバル化が進む社会情勢の中で、鹿児島もこの社会情勢に対応したまちづくりを展開し、世界に誇れるものを確立する必要があります。その中で、もっとも大事なものは「人」であり、人は地域の「財」であると私は考えます。物事を地域レベルではなく、国際レベルで捉えることができれば、新たな価値観を見出すことができるでしょう。その価値観は、国際的な視点からこのまちの未来を想像し、このまちに潜在する可能性を切り拓くことができると考えています。私たちはこのような人財を一人でも多く育てる運動を展開していく必要があり、そのことが、地域に新たな価値の創造をもたらし、世界に誇れる鹿児島の実現につながると確信しています。

また、国際組織の一員である私たちは、同じ志を持つ韓国の利川青年会議所と国際交流を始めて本年で39年目、来年で40年目となります。言語・文化・風習の違いこそありますが青年会議所には国境も民族も関係ありません。その共通理念に基づき国と国の関係を越えた交流を重ねて、信頼と友情を築いてきました。この歴史は民間外交の成果の一つの証でもあり、誇りを持って今後も交流を継続していくとともに、更なる民間外交への発展に向けて、鹿児島市と利川市の相互理解を推し進め、両市の架け橋となるべく活動を行ってまいります。そして、新しい姉妹盟約JCについても模索し、さらなる地域の国際化に向けた運動を展開していきます。

最後に

青年会議所は、様々な個性を持ったメンバーが集い、自分自身を磨くことのできる素晴らしい団体です。しかし、自ら動かなければ何も変わりません。何もせずに誰かが何かを与えてくれるわけでもありません。自分自身が積極的に参画し、高い志を持って取り組むことで何かを掴み取ることができるのです。鹿児島青年会議所のメンバーであることに自信と誇りを持って、誰に何と言われようと失敗を恐れずにメンバー全員で心をひとつに力を合わせ、私たちの愛するこのまちの未来のために挑戦していきましょう。

そして、やればできるという感覚をみんなで体験しよう!

公益社団法人鹿児島青年会議所第63代理事長  嶽釜 勇一郎