理事長所信

序文

私はこの鹿児島、薩摩の地に生まれ活動できていることを誇りに思っています。美しい自然、豊富な食材、居心地のいい風土、先人たちの築き上げた歴史もそうですが、何よりも昔からある教えに感銘を受けたからであります。その薩摩の教えには、評価されるべき人の順序というものがあります。一、自ら挑戦し成功した者。二、自ら挑戦し失敗した者。三、自ら挑戦しなかったが挑戦した人の手助けをした者。四、何もしなかった者。五、何もせず批判だけをしている者。これには行動するか、しないかの違いと挑戦することの重要性が明確に示されていますが、それでも失敗を恐れ躊躇することがあります。その不安を払しょくするには、いろいろな経験をしたり多くの情報を得たりする行動でしかありません。薩摩の教えは何事にも行動があってこそ評価されるべきとの教えで、私の精神的支柱となっています。

私は今後も挑戦を続け、すべての経験を成長の糧とし、昨日より今日、今日より明日、少しずつでも成長し続けたいと思っています。小さなことの積み重ねが、大きな結果を生む近道だと信じてこれからも前進していきます。

鹿児島青年会議所は、どの時代もまちのことを想い、考え、運動を続けて66年の歴史を積み重ねてきました。まちをより良くしたいという共通の目標のために、英知と勇気と情熱を本気でぶつけ合って、出した答えに全力で行動するからこそ、人間を成長させてくれる。「人は人によって磨かれる」発展・成長の機会がこの青年会議所にはあります。その我々が、まちをより良くしたいと行動すればインパクトを残せるはずです。これが私だ。これが鹿児島青年会議所だ。と、自信をもって挑戦していきましょう。

鹿児島と世界

新型コロナウィルス感染症の影響により世界各国で国を超えた移動や多人数の集まりを伴う事業が実施を見合わせてきました。各国でも状況が様々で人の行き来を再開するタイミングも難しく出口の見えない状況です。利川青年会議所とは交流を始めて43年となり信頼と友情を築いてきましたが、これから先もこの結びつきを揺るぎないものにしていくためにも、今までの交流の様式を考え直さなければならない時期にきています。今までの人と人との交流としての実績があるからこそ、様々な状況にも対応できる民間外交を導き出せると信じています。また鹿児島青年会議所は、国際会議の誘致や地域の国際化に向けての運動やJCIのネットワークを活かした国際交流を展開してきた実績もあり、地方自治体からも今後の運動に期待していただいていることを感じています。だからこそ、我々が実践してきた運動をきっかけにどのように変化してきているのか検証し次への指針を示すべきと考えます。

これからは持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGsが地域にも認知されつつあり、SDGs未来都市に選定された鹿児島市との連携によって効果的な運動展開が加速していきます。達成の進んでいる目標への取り組みを維持しながら、達成の遅れが出ている目標への取り組みを企業・自治体・各種団体・個人の具体的な取り組みや意識変革によって推進していく必要があります。また地方の多様な課題に対して取り組むには単体での運動展開は難しくなってきています。産学官民一緒に取り組むことができる環境を整え、広い世代に認識をしてもらう仕組みを確立しなければなりません。国際社会の取り組みを正確に把握し、これからの地域に必要な運動を展開していきましょう。

会員は組織の根幹である

青年会議所は20歳~40歳までの若い世代の集合体です。40歳までの限られた制限があり、志をともに活動した仲間は卒業していき経験という財産が失われます。それに代わり新たな仲間が増えることで刺激をもらい人も組織も進化していくものであります。しかしここ数年、社会情勢の影響もあって新入会員数は少なく総会員数が減少の一途をたどっています。根幹である人財が揺らぐと組織の運動に影響が出てきます。過去の戦略を参考に現代版の拡大戦略をもって取り組み、今この流れを好転させなければ、近い将来には組織が成り立たなくなります。また組織の底上げにも取り組まなければなりません。今の鹿児島青年会議所メンバーの力はこんなものではないはずです。メンバーの能力が地域に活かされる事に気づかせてあげるのもまたメンバーなのです。それにはお互いを知らなければ、そのメンバーの魅力や潜在能力に気づけず埋もれてしまいます。多様性のあるコミュニケーションの場を増やしメンバー間の距離を縮め可能性を広げる機会が必要であります。それと並行して今ある能力をさらに磨き上げ、まちや仕事に活かせる学びの機会も提供しなければなりません。生活様式も一変するといわれている中で、従来の組織や社会におけるスタンダードにとらわれず、多様な価値や発想をとり入れ、社会環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるスキルを身に着けることが必要となります。それらを実践することができれば、まちへインパクトのある効果的な運動ができる組織へと進化できます。

郷土愛

伝統文化を次世代につなぐことは、先人の知恵と現代の感覚を融合することだと考えます。その時代の感覚を取り入れ試行錯誤しながら今の形になっていることを、知り理解することで、新たな要素を取り入れることができれば、文化は継承し続けていくと信じています。伝統文化は見て触れることで最大限の魅力を発揮します。未来を担う若者世代にも広く体験してもらう機会は継承していく中で重要になってきます。何もかもがあふれている現代社会で、伝統文化の魅力に気づいてもらうには、こちらから率先してアプローチをかけ、触れる機会をつくることが必要であります。そうすることにより郷土に愛着が生まれ、伝統文化が脈々と受け継がれていきます。

進化し続ける大切さ

1954年から続いている鹿児島青年会議所は、その時代の変化に柔軟に対応し進化し続けているからこそ今日まで存在しています。これから先70年、100年と地域に必要とされる鹿児島青年会議所であるためにも、時代のニーズを正確に読み取り組織を最適化し進化しなければなりません。それにはまず自分たちの所属する組織がどのような仕組みで、どのようなルールのもと運営しているのかを皆が理解することが大切です。そのうえで進化するための可能性を探り実践する必要があります。社会を一変させるような事態も起こり、先のことは予測が難しくなっている今だからこそ、多様性を高め柔軟な対応ができる組織に進化しなければなりません。

スティーブ・ジョブズの言葉で「いくら素晴らしいものを作っても伝えなければないのと同じ」とあるとおり、街にインパクトを残すには、幅広い世代の多くの人々に我々の運動を伝えなければなりません。直接的だけではなく間接的にも広がるような広報戦略を打ち立て、全世代にも鹿児島青年会議所の存在感を示したい。これが鹿児島青年会議所だと。効果的な発信は、賛同者が増え、自信を深められ、行動へとつながる好循環を生み出す最高の武器になります。積極的な攻めの広報に挑戦するべきであります。

当然のことですが、挑戦するには組織の基礎がしっかりしていることが大前提になります。当たり前のことができてない中で、新しいことに挑戦することは無謀でしかありません。挨拶、規則の順守、理念や目的の理解など、人と組織の基礎となる部分があってこその挑戦に、意味があり成長につながります。基礎を作りあげる環境を整えて全メンバーに浸透させ、鹿児島青年会議所の運動を揺るがないものにしていきます。

最後に

後で何が活きてくるのかわからないのが人生です。その人生を創っているのは今までの私たちの経験なのです。まっすぐ進むこともいいですが、寄り道することも大切です。

一日一日をしっかりと踏みしめ果敢に挑戦しよう。
挑戦の数だけ成長できるのだから、確実に前進しよう。
前に進めれば自信をもって言えるだろう。
「これが私だ」「これが鹿児島青年会議所だ」と。

いつまでも地域に必要とされる鹿児島青年会議所であるために。